映画、君の名は。を見た。
成り行きながら、二回も見た。
劇中の光、風、音、そして、日本の美しい情景が、素直に心に入ってくる映画だ。
さて、この物語の中では、文字や絵を書いたりするシーンが多く存在する。
特に、しなやかな筆致や、線のとめはねが、凄かった。
CGで描かれる動きが、絵であると分かっていながら、手元の様子がリアルに感じたのだ。
チョークで、先生が万葉集の一片を引用し、黒板に書きながら説明するシーンを思い出した時、こんな事を思った。
実はチョークで黒板に書くという状況は、実は、特殊な状況だなと。
先生であれば、当たり前のように、人前に立った状況で、大きな文字で話しながら、垂直の面にチョークで書いていく。
しかし、生徒にとってみれば、相当ストレスがある状況だ。
私事であるが、小学生の授業の時、同級生が、黒板にアルファベットの『J』という文字を書くという場面があった。
ところが、彼は、緊張のせいか、平仮名の『し』を書いてしまい、教室内で爆笑をさらってしまった。今思えば、失敗したらどうしようという気持ちがあったのではないかと思う。
話がそれるが、書道教室の教材を企画している時に、個人的には、硬筆の教材で、手の小さい児童が、大きな文字を書く意味が分からなかった。
現実の日常生活の中で、あんなに大きな文字を書く事はあり得ないと思ったからだ。
ところが、この映画の中で、リアルなシーンを見た後に、練習で大きな文字を書く必要性に気づかされた。
最後に、映画の話に戻るが、映画館でエンドロールが終り、場内が明るくなっているのに、席を立たずに考え込んだり、連れの人と語り合って、すぐに帰ろうとしない人が目立った。
シンガーソングライターのライブを終えた後のような会場の雰囲気だ。おそらく、アニメなのにメッセージ性のあるリアルな表現に、皆それぞれ新しい発見をしていると感じた。
もし、この映画を見る機会があれば、是非ともご覧頂きたい。
劇中に、書くというシーンが、どこにあるのか探して欲しいこともあるが、震災を経験した日本人として、生きている事の大切さと、命の尊さを実感出来る映画には間違いがない。