封筒に、桜の切り紙で、桜吹雪を。


今は閉店となっていますが、
岡山の西のはずれに、とある料亭がお店があり、
そのお店から送られてきた封筒DMに、面白い仕掛けがあったので、ご紹介します。

正確な時期は忘れましたが、季節は春だったと思います。
そんな季節のある日、そのお店から営業的に郵便物が届いたのです。
いつもなら、はがきだったのに、今回は、手紙の入った封筒が投函されていました。

おや?と思いながら、開封すると、手紙が出てくると同時に、
なんと、切り紙で出来た、ピンクの桜の花びらが、同時に落ちてきたのです。

紙なのに、床に落ちても大丈夫なのですが、
その落ちていく様は、まるで本当の花びらのようで、
落ちないように、思わず手で受け取ろうとした位でした。

大げさかもしれませんが、
私は、一瞬、桜吹雪の中にいるような感覚になり、
このお店の女将のセンスに、クラクラしてしまいました。

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後日談がありまして、
何年か経って、偶然にも、別のお店で、
元いた料亭のスタッフと再会したことがありました。
そこで、このDMの話をしたところ、なんと、その桜の切り紙を作っていた人の一人でした。
ご本人曰く、
『私たちが作った桜が、お客さまに気づいてくださるのだろうか。封筒の奥に隠れたままになっているんじゃないか。』とか、
心配していました。
ところが、私がちゃんと気づいたという話をすると、いたく感動していたのが印象的でした。

その方の、何年も前に、桜の切り紙で苦労と想いが、何年も経って報われる。
それが、ちょうど桜が咲く、春先に、偶然が重なり合う。
そんなことも、あるのだなと実感した、三月のとある一日でした。


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